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2016秋の最低賃金引き上げをどう受け止めるか

今年の秋の最低賃金引き上げの目安が発表されました。

東京932円、神奈川930円、大阪883円 などなど。

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パートさんによる日常管理業務をしている会社にとっては、厳しい発表となりました。

全国平均で24円アップとなり、過去最高の上げ幅です。

日常管理業務はすでに薄利になっている上に、更に人件費が約3%上昇してしまいます。

日常清掃の利益なんてほとんどないのに・・・

実際に人を雇用している会社にとっては死活問題です。

ここで、大阪府を例に最低賃金の推移をみてみましょう。

1

例えば、直近の10年間で見てみます。

平成18年は、時給712円。

平成28年は、時給883円になるので、

この10年間で、時給が171円、20%もの上昇になります。

直近5年間でみても、時給が97円、11%もの上昇です。

長年にわたる契約物件ほど、利益がでなくなっている、赤字になっているのはこのためです。

 

政府は、最低賃金を全国平均で1000円を目指すとしています。

全国平均で1000円になるまで、仮に毎年3%ずつの上昇率でシミュレーションしたのが次の表です。

original

最低賃金の引き上げを、会社としてどう対処していくか。

さまざまなケースがありますが、ここでは、一番大きく問題になるケースを考えてみます。

それは、日常清掃を1時間当たりいくらで積算・契約している物件です。

1時間がいくら、〇時間が〇人だから、月額いくら、という契約です。

この場合には、最賃アップが賃金アップになり、粗利を直撃してしまいます。

このような契約になっている物件をどうするか、を考える必要があります。

具体的な対応策は次の2点ぐらいでしょう。

①請負金額値上げ

②請負金額そのままで、仕様を少し削減(時間数削減など)

2つの場合のメリット・デメリット

①の場合

オーナー側もコスト意識に敏感ですから、ハードルは高く、交渉の難易度は高い。

しかし、時間契約や人数契約を明るみにしているならば、最賃上昇という理由は説明がしやすい。

来年以降も最賃引き上げが続き、同様の状況になることを考えると、最賃を理由に値上げの実績がつくれれば、来年以降も、同様の理由で話がしやすく、オーナー側の理解も得られやすいかもしれない。

②の場合

請負金額の値上げではないので、オーナー側の理解を得やすく、交渉の成約率は高い。

4時間1名の現場を、3.75時間にする。7時間1名なら、6.75時間にするなどの仕様減。

しかし、時間が短くなると現場の品質は落ちる。また、来年以降も最賃の引き上げがあることを考えると、来年以降も「金額そのままで仕様減」では、いずれ現場の限界がくる。その場逃れ的で来年以降に、難しい仕事を先送りにしたことになるのかもしれない。

結論としましては、最低賃金の引き上げというのは、社会情勢の大きな変化ですから、本質的にはやはり契約金額を上昇させていくべきなんでしょう、と現段階では思います。

大手さんへお願い

自社で日常清掃パートさんを雇用せずに、下請さんへ業務発注する側の大手さんは、今よりもいかにコストを削減するかではなく、下請さんへの発注予算をいかに確保していくかが最重要課題と考えた方がいいかと思います。

金額的にすでに限界をむかえている物件について、下請さんからの値上げお願いは増えていると思いますので近年の状況はご理解頂いていると思います。

来年以降も、3%ずつの人件費増は間違いありませんし、これが毎年つづいていきます。安い下請さんを新たに探して、発注先を切り替えていくにも限界があります。安かろうはしょせん悪かろうです。クレームが増え、自社の信用を落とし、何をしているかわからなくなります。

今の下請けさんを大事にし、両社が利益を確保できる方法をいっしょに考え、必要に応じたオーナー交渉を実現してくれることを願います。

『オーナー側への価格交渉力』

大手さんの最重要課題はこれではないでしょうか。

真面目で良くやってくれる下請さんほど、手放してはいけません。

数年後に気が付けば、安かろう悪かろうの下請けさんばかり、では・・・です。

 

下請さんへお願い

単純な値上げの交渉は元請さんを困らせてしまいます。

現場を知りつくしているならではの提案が考えられるはずですので、いくつかの案をつくって元請さんにご相談することからはじめてみてはどうでしょうか。いっしょにオーナー側への提案資料を作成するなど、できる限りのことはいっしょにやっていくべきだと思います。長年お世話になっている元請さんと引き続き良好な関係をお願いできるのが最良です。

 

勝手な意見を書かせて頂き失礼いたしました。

清掃業界で働く人口は全国で81万7千人といわれています。

自身も含め清掃業界で働く人々の発展と幸せを切に願う立場として、来年以降も続いていく最低賃金の改定を考えてみました。

我々の業界は、正社員の平均年収も決して高くありませんし、有給や残業についても課題は大きいままです。

業界全体の「働き方」が、年々、苦しくなっているように感じるのは私だけではないかと思います。

市場にたいして価格転嫁できない業界は伸びないのではないでしょうか。

業界全体で市場にたいして価格転嫁を考えるとするならば、やはり大手さんに業界を牽引していただくことが不可欠になります。

大手さん同士が、行き過ぎた現実離れの価格競争をする時代は終わりました。

大手さんには、業界人81万7千人の先頭に立ち、将来この業界に入ってくる若者たちのためにも、時代にあった業界への進化をうながしてほしいと願っています。

下請さんは、元請さんから不可能な金額で依頼があった場合は、お断りする勇気をもってください。積算能力や採算限界ラインの理解については、元請さんよりも精通しているのが下請けさんです。業界内の相場を底支えするのは下請けさんの役割だと思います。

この先も毎年続いていく最低賃金引き上げについて、大手さん、元請さん、下請さんが、共に直面する長期の課題として最賃問題を認識し、協力して取り組んでいくことがしかるべき姿ではないでしょうか。

掃除のつぼ運営責任者 水谷豊


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