会社の継続した発展のために、人件費の原価計算を確認してみませんか?
世の中のさまざまなものが値上がりしはじめました。利用者としては困りますが、世の流れ、仕方のないことだと理解するしかないですよねー。。。
ヤマトに代表される運輸業界、郵便ハガキ、電気・ガス、ティッシュペーパー、ビール類、バター&チーズ類、小麦粉、タイヤなどなど10%ぐらいの値上がりが予想されています。
各企業とも苦渋の決断なのでしょうが、世の中に継続して安定供給できる企業体制を維持するためには不可欠なことなのでしょう。
きっとしっかりした企業や業界としてこれからも世の中に貢献されることでしょう。
前置きはこのぐらいにして、ビルメンテナンス業界の話しをしていきましょう。
社員ひとりが長く安定して生活をしていくにはどのくらいの年収が必要でしょう?
社員が妻子をもち、子どもを大学に進学できるぐらいにしたいものです。
ひとまず例えばですが、月給30万円、賞与は夏1ヶ月、冬1ヶ月ぐらいをモデルとしてみます。
(これで月給の手取りは24万円程度です)
会社でかかる人件費を計算していきます。
30万円×(12ヶ月+賞与2ヶ月)=420万円
社会保険料は健康保険が約10%、厚生年金が約18%の労使50%ずつ負担なので、
社会保険料で年間約21万円、厚生年金が年間約38万円かかります。
420万円+21万円+38万円=年間479万円
通勤交通費が年間12万円、その他もろもろ含んで、年間500万円とします。
週休2日制だと年間休日が104日、出勤日数が261日になります。
1日あたり原価は、約500万円÷261日=約19,200円
1時間あたり原価は、約19,200円÷7時間実働=約2,800円
ざっくりですが、社員1日の人件費原価は2万円、1時間当りは3千円 になります。
これはあくまでも原価です。
ですから、事務所の家賃や事務員さんの人件費とか車両費、材料費などの販売管理費
や会社利益をいれていけば、社員ひとりが1日売上げる必要金額は、25,000円とか
30,000円とかになってくるでしょう。
次世代の社員が納得して働き続ける、会社も安定し発展を続けるには、このぐらいの人件費原価と
社員売上げが必要だということになります。
この計算には年間20日分=約40万円の有給休暇の計算はいれていませんが、
ホントはこれも算入しないといけませんね。。。
上記の計算が成立していなければ、賞与が支給できないとか、休日もほとんど取れないとか、
有給は取れないとか、月30万円も支給できないとか、そんな会社になります。
定期清掃メインの会社さんでは上述のパターンはイメージしやすいのではないでしょうか。
月給25万円、社保あり、賞与なしの場合で、休日だけはしっかりとろうと考えると22日出勤なので、
25万円+社保4.5万円+交通費1万円=30.5万円 ÷22日 = 約14,000円/日
この場合でも原価で14,000円かかるわけです。
これに、事務所の家賃や事務員さん人件費、車両費、材料費、会社利益をいれると、
やっぱり社員1人あたり2万円以上ぐらいの1日売上がないと成立できないでしょう。
世間では、1人工13,000円とか、15,000円とはそんなレベルの話しが一般的ですが、
何を根拠にこんな安価な相場ができたのか、残念な実状です。。。
次世代の社員が安心して頑張れて、会社も安定して発展していけるために、
人件費の原価の確認、1人当りの必要売上、一度、確認してみてくださいねー。
不足しているなら、苦渋の決断と勇気ある行動が必要かもしれませんね。
そうしないと、いい人材、いい会社、いい業界は育ちません。
大手の元請さんクラスの会社さんの場合には、このぐらいの設定金額で発注できれば、
いい人材のいい下請さんに来てもらうことができるでしょう。これより安い場合には、
安かろう悪かろうのお買物を将来にわたって続けてしまうのかもしれません。
建物の快適性や安全性がさけばれる現代の日本、私たちビルメンテナンス業界の
社会貢献度はますます高くなっていると思います。
業界が世間から信頼され、貢献していけるためには、業界で働く人々の待遇をいまいちど
考えてみる必要性を発信したいと思いました。
掃除のつぼ運営責任者
水谷 豊
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